【解説】
2人が同じ速度で並んで歩いているとき,一方の人からもう1人を見ると止まっているように見えます。また,自動車や電車の中から外の景色を見ると,止まっているはずのものが自分の進行方向とは反対方向に動いているように見えます。
一般的に,「速度」と言われれば地面に対する速度を考えますが,先の例のように動いている2つの物体A,Bがあるとき,Aから見たBの速度を考えることもあり,そのことをAに対するBの相対速度といいます。つまり,Aを基準にしたときに,Aと比べてBがどれだけ速い,もしくは遅いのかを表した量になります。
ここで,Aの速度を$v_A$,Bの速度を$v_B$,Aに対するBの相対速度を$v$とします。Aの速度に,Aから見たBの速度(Aに対するBの相対速度)を合成するとBの速度になるので,次のように表すことができます。
$$v_A +v =v_B$$
このことから,Aに対するBの相対速度$v$は,
$$v =v_B -v_A$$
で求めることができます。
このとき,相対速度も「向き」と「大きさ」を併せ持った量(ベクトル量)であるので,ベクトルを用いて図示すると,始点をそろえて2つの速度(ベクトル)を表したとき,基準となる速度(ベクトル)の終点から,他方の速度(ベクトル)の終点を結ぶベクトルが相対速度を表すベクトルになります。